食事療法

食事の習慣が原因で、高血圧になっているケースが多くあります。人によって、その程度は異なりますが、高血圧の人は多かれ少なかれ食事の影響があると考えていいと思います。

そこで、食事の習慣を変えることで、血圧を正常レベルに近づけることが期待できます。食事療法には様々な方法がありますが、ここでは一般的な病院医院で行われている食事療法をご紹介いたします。

病院医院で行われている食事療法の多くは「高血圧治療ガイドライン」基づいて行われています。高血圧治療ガイドラインでは、(1)「塩分制限」(2)「野菜果物の積極的摂取と、コレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限」(3)「低カロリー食」が推奨されています。

(1) 塩分制限

塩分制限をすると血圧が下がる事がTONE試験(JAMA1998;279:839-846)によりわかっております。この試験では高齢高血圧患者の塩分摂取量平均8.5g/日を6.1g/日にしたところ、統計学的に有意に降圧が認められました。この試験を始めとした各種データに基づき、ガイドラインでは、食塩制限の目標を6g/日としました。

現在の日本人の食塩平均摂取量は12g/日となっておりますので、平均的な食生活の半分にしなければ目標レベルに到達することが出来ません。さらに期待できる効果は−6g/日の減塩で収縮期血圧5mmhgの血圧低下というデータもあります(JAMA2003;289:2560-2572)ので、塩分制限だけで血圧を下げるというのはなかなか難しいというのが現実のようです。以上のような理由もあるので、出来る範囲で塩分を控えめにすればいいのではないでしょうか。

(2)野菜果物の積極的摂取とコレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限

野菜や果物にはカリウム、マグネシウム、カルシウムが含まれています。これらの成分はそれぞれ弱いながらも降圧効果があることがわかっております。そのため、高血圧患者においては野菜や果物の摂取が奨励されています。しかし、腎機能障害がある場合にはカリウム排泄が低下するので高カリウム血症になる恐れがあり注意が必要です。また、糖尿病や肥満の場合には、糖分の摂取を控えめにする必要があるので、果物は控えた方がいいとされています。

また、飽和脂肪酸とコレステロールが少なくカルシウムが多い食事、ならびに野菜果物の多い食事摂取の臨床試験が行われ(N Engl J Med 2001;344:3-10)、中等度の高血圧患者の血圧を11.4/5.5mmhg有意に下げる事がわかりました。現代の日本人はアメリカ人よりも多くコレステロールを摂取していますので、これを控えることで血圧を下げることが期待できます。高血圧症の人は動物性脂肪、動物性たんぱく質、卵の摂取は控えめにしましょう。

(3)低カロリー食

高血圧の原因のひとつに肥満があります。体重を下げる事で血圧を下げる事ができるという報告はすでに多数あり、肥満を合併している高血圧症の人は積極的な減量が望ましいとされています。体重を減らす為には、カロリーの摂取量を減らすか、

カロリーの消費量を増やす必要がありますが、食事療法においては摂取するカロリーを減らす事が目的になります。カロリーの少ない食事とは、一言で言えば、野菜、きのこ、海草などが中心で、肉や乳製品の少ない食事です。米やパンなどの炭水化物も控えめにした方がさらに効果があります。このバランスについては、専門家によっても意見が異なりますが、少なくとも高血圧の人については動物性のたんぱく質と脂質は控えた方がいいと思います。

以上が一般的な病院医院で推進されている内容です。この他にも様々な方法がありますが、現在の食事療法の基礎となっている部分ですので、きちんと理解しておくことをおすすめします。